令和7年2月定例会で代表質問を行いました。
なかなか忙しく更新できませんでしたが、いわき市議会は、2月20日(木)より、令和7年2月定例会が始まっています。
このところのお天気は、極端な三寒四温。気温が20度近くまで上がり春の陽気だと思ったら、温暖ないわきで雪が降ったりと、体調維持に気を使う毎日でした。さて、政風会の皆様から代表質問の機会をいただき、内田広之市長をはじめ、執行部に質問いたしました。

質問全文と答弁を掲載したします。(今回は、一括質問・一括答弁です。)
おはようございます。25番 政風会の西山一美です。
今月上旬に発生した大雪により、会津若松市では積雪量が観測史上最多となるなど、会津地方の各市町村では記録的な雪に見舞われました。大雪による事故などでお亡くなりになられた方に哀悼の意を捧げると共に、被災された皆様におかれましては、未だ大変な状況だと思いますが、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
大雪が約1週間にわたり続いたことで、会津地方を中心に温泉施設で、約800件以上のキャンセルが発生するなど観光産業などをはじめとした各方面に大きな打撃を与えました。
私たちが住むいわき市は、比較的温暖な気候ではありますが、今後、あらゆるケースに備えた防災・減災対策についても想定しておかなければならないと思います。
困難に直面した時、「何かあった時に助けてもらうのは申し訳ない」、「私は何とかなるから大丈夫」と考えることがあると思いますが、本市は東日本大震災を経験し、全国から多くの支援をいただきました。だからこそ、その経験を生かし、災害の時には「あの時はありがとう」、「今度は私たちが」という気持ちで被災された皆さんへ支援し恩返していくことが大切です。
人づくり日本一を目指す内田市政において、被災者の皆さんへの支援に積極的に取組む本市の姿勢や考え方は大変重要な意味を持つものだと思います。誇りと自信を持って人づくり日本一に取り組んでいくためにも、被災地支援、そして被災者の皆さんの生活再建などについては、これまでと同様、しっかりと取組んでいただくことをお願いして、以下、通告順に従って代表質問を行います。

大きな質問の1番目は、市政運営の方針についてです。
内田市長は、年頭のあいさつで、市民一人ひとりの幸福度が高い「ウェルビーイングなまち」の実現を目指すという将来像を掲げました。政風会としましても、市民の民意を託された立場から、新たなまちづくりを支援していきたいと考えています。令和7年度は、これまで種まきしてきた様々な取組が実を結び、収穫する時期となります。その果実を糧にさらなる成長へと繋げる、まさに内田市政のこれまでの取組を集大成する重要な年であり、市長の手腕に大きく期待をしています。そこで、まず、1点目として、令和7年度の市政運営に当たっての基本的な方針について市長に伺います。
2点目は、令和7年度の組織改正についてです。内田市長が目指す市政運営をより円滑に、また、より効率的に実行していくためには、それに見合った組織体制への見直しが必要です。そこで、新年度の組織改正の考え方について伺います。
大きな質問の2番目は、本市の財政についてです。
内田市政誕生以来、4度目の予算編成となりました。「いわき再起動」を実感できる成果が求められ、限られた予算を、どのように配分し、政策を重点化していくのかが問われるところです。そこで、1点目として、令和7年度当初予算の特色について、特に気を配った点を含め伺います。次に、昨年11月、我が政風会は執行部に対し、「令和7年度市政執行並びに予算編成に対する要望書」を提出いたしました。この要望書では、山積する課題を踏まえ、市民一人ひとりが、安全・安心に、生きがいを実感して、将来に希望を持つことができる社会を実現するための施策をまとめました。そこで、2点目として、我が会派の要望をどのように予算編成に反映させたのか伺います。次に、人口減少、少子・高齢化が進む中、世界情勢の悪化による経済への影響や、自然災害の激甚化・頻発化などにより、財政を取り巻く環境は一層厳しくなっていくことが予想されます。このような中にあっても、健全な財政運営を図るためには、見直すべき事業は果敢に見直すことにより、新たな政策の原資を生み出すという、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドを進めていかなければなりません。そこで、3点目として、今後の財政運営に当たっての基本的な考え方について伺います。
大きな質問の3番目は、次世代を育てることについてです。
1点目は、教育に係る取組についてです。今年度の全国学力・学習状況調査の結果分析を受け、昨年8月の教育長記者会見の中で、「主体的・対話的で深い学び」の視点から授業改善に取組むとの発表がありました。
「主体的・対話的で深い学び」とは、児童生徒に資質・能力を育むために学びの質に着目し、授業改善する取組みを活性化していく視点として、現行の学習指導要領に位置づけられ、市教育委員会では、市内小中学校がこの視点からの授業改善に取り組むことができるよう新たな支援策を進めていると聞いています。 そこで、1つ目として、「主体的・対話的で深い学び」の視点から実施している支援策について伺います。
文部科学省の「学校基本調査」によれば、義務教育段階の児童生徒数は減少傾向にある一方で、特別支援教育を受ける児童生徒数、特別支援学級数はともに増加傾向にあり、教育現場では新たな特別支援教育体制の整備が必要になっているとされており、また今日、子供たちの多様性を尊重するため、障がいのある者とない者が共に学ぶ仕組みづくりが求められており、そのためにも特別支援教育のさらなる充実が必要と考えます。そこで、2つ目として、本市におけるインクルーシブ教育に係る取組について伺います。令和5年度の文部科学省の調査によれば、日本全国で不登校児童生徒数は約34万6千人であり過去最多を更新しました。また、本市も不登校児童生徒が増加傾向にありますが、不登校児童生徒への支援では、児童生徒の心に寄り添った支援が必要と考えます。そこで、3つ目として、本市における不登校児童生徒に対する取組について伺います。
近年の社会状況の変化に伴い、学校を取り巻く問題がより複雑化・困難化し、学校現場が抱えるさまざまな課題解決のために、地域と一体となって学校運営を進める仕組みづくりが求められています。本市の教育大綱では、「地域全体で人を育て、誇れるまちいわきをつくる」といった基本理念を掲げ、学校と地域が、顔の見える関係で連携・協働活動を推進していると認識しています。そこで4つ目として、学校を核とした地域づくりの推進に係わる取組ついて伺います。
2点目は、子育てに係る取組についてです。本市では、7つの地区保健福祉センターに、母子保健コンシェルジュと、子育て支援コンシェルジュを配置し、手厚い体制で子育て支援を行っています。また、今年度は、母子保健機能と児童福祉機能を統合したこども家庭センターを新たに設置し、相談支援体制の充実強化を図ってきました。しかしながら、今なお支援を要する家庭が多く存在する中、こどもたちを誰一人取り残さずに育てていくためには、多様なニーズや課題に対する支援体制の更なる充実を図る必要があります。そこで、1つ目として、安心して子育てできる環境づくりに向けた取組について伺います。2つ目として、こどもが健康に育つための支援について伺います。3つ目として、保育士の確保に向けた取組について伺います。
令和5年12月に閣議決定された「こども大綱」では、こども・若者が権利の主体であることが明示されました。市では、新たに「市こども計画」を今年度中に策定すると聞いています。「こどもまんなか社会」の実現に向けて、こども・若者の権利の理解を深めることや、こども・若者が意見を表明できる機会を確保することなど、こども・若者の人権尊重が非常に重要だと考えます。そこで、4つ目として、こども・若者の人権が尊重される社会の推進について伺います。
3点目は、担い手に係る取組についてです。人口減少が進む中、近年、地方では、人口が増加している首都圏から、地域の担い手となる移住者を呼び込もうとする競争が激化しています。本市も、将来にわたり活力を維持していくため、移住希望者のニーズに合った実効性のある移住・定住施策を展開し、地域の担い手を確保していく必要があると考えます。そこで、1つ目として、移住・定住の促進に向けた取組について伺います。
本市の活力を維持していくためには、市外から人を呼び込むだけでなく、グローバルとローカル、両方の視点で活躍できる「グローカルな人材」を市内で育成することも重要だと考えます。このため、昨年12月に開設した「国連ユニタールCIFALジャパン国際研修センター」には、今後の事業展開について、大いに期待をしています。そこで、2つ目として、本市の次代を担う人材を育成するための、主な取組について伺います。
次に、関係人口についてです。「関係人口」とは、地域と多様に関わる人々を指す言葉で、具体的には、市外に在住するいわき出身者の方をはじめ、いわきが好きで何度も訪れてくれている方など、いわきへの親しみや想いが深く、いわきを応援してくれている方々が挙げられ、関係人口の創出は、地域づくりの担い手や、将来、いわきへの移住につながることなどが期待されています。そこで、3つ目として、今後の関係人口の創出に向けた取組について伺います。
大きな質問の4番目は、命・暮らしを守ることについてです。
1点目は、防災に係る取組についてです。市長は、就任当初から、「逃げ遅れゼロ」「災害死ゼロ」を市政の最重要施策に掲げています。こうした中、様々な団体、企業等との災害時の連携強化を進めてきており、その中には、防災分野において世界的にみても非常に高い評価を受けている、東北大学災害科学国際研究所とも連携協定を締結しています。一昨年の台風第13号による被災においても、様々な有益な提言をいただきました。高い知見を持つ同研究所とは、今後より一層の連携強化を図ることが、本市の防災・災害対応力の向上に貢献するものと思います。そこで1つ目として、東北大学災害科学国際研究所と連携した今後の取組についてどのように考えているのか、伺います。
次に、災害はいつやってくるか分かりません。まず、災害発生の危険を予測し、適切に対応する、いわゆる「災害対応のじぶんごと化」が大切です。そして、そうした意識を自然と持つためには、小中学生の早い時期からの防災教育が重要だと思います。そこで2つ目として、小中学校における防災教育の取組について伺います。次に、防災・減災に向けては、日々進化している防災システムを活用して、可能な限り被害を少なくしていくという視点も大切だと考えます。特に、河川の氾濫や越水は大きな被害をもたらすことから、現在も、県の河川流域総合情報システム等により、河川水位情報が提供され、水防対応などに利用されています。そこで3つ目として、防災業務に関する新たなDXの取組について伺います。
次に、災害に対しては、「自助」「共助」「公助」の力を結集して対応していくことが必要です。本市では、これまで年2回の市総合防災訓練をはじめ、自主防災組織や登録防災士の育成など、「自助」や「共助」の力を高める取組を進めてきています。また、「公助」の取組としては、職員の災害対応力向上のための市災害対策本部訓練等の実施や、時代の変化に合わせた非常用備蓄品の見直し等を進めてきましたが、高齢化・人口減少が進む中にあっては、より一層充実させていく必要があります。そこで4つ目として、市民の生命・財産を守るための後ろ盾となる「公助」のさらなる取組について伺います。
次に、近年、激甚化・頻発化する自然災害の状況から、消防団の役割は非常に大きくなっています。しかしながら、全国的に消防団員数は減少傾向が続き、本市においても、令和6年4月1日現在で、条例定員3,200人に対し、実数は2,926人と定員を大きく下まわっており、地域防災力の低下が懸念されます。そこで5つ目として、消防団の強化に向けた改革について伺います。
2点目は、医療・健康に係る取組についてです。
内田市長は、就任以来、医師の確保を市政喫緊の課題として取り上げられ、積極的に取り組んで来られました。その結果、市内の医療施設に従事する医師の数は、国の統計によれば、575人でしたが、令和4年12月31日時点では596人となり、この2年間で21人増加したとのことです。市長も、昨年6月の記者会見で明らかにされていましたが、この2年間の医師の増加率は、中核市60市中、10位と高い伸びを示し、市内の医療関係者の皆様と市が一体となった取組の成果があらわれていると認識しています。一方、人口10万人当たりの医師数を見てみると、全国平均が262人、本市は183人で、全国平均の約70%となっています。こうした中にあっても、今後も継続してさらなる医師確保に取り組んでいく必要があると考えます。そこで1つ目として、この現状をどのように捉え、今後どのように医師確保に取り組んでいくのか伺います。
次に、救急医療体制についてですが、先月公表された救急患者搬送状況によりますと、119番通報から病院収容までの所要時間は、令和6年が51分38秒で、令和5年との比較で1分17秒、令和4年との比較では3分43秒短縮したとのことであり、関係者の皆様の努力に感謝したいと思います。救急搬送時間の短縮は、患者の命を救うことに直結するもので、そのためには、患者を受け入れる体制の強化も必要と考えます。そこで2つ目として、市では、救急搬送患者の受入体制の強化について、どのように取り組んでいくのか伺います。
医療センターは、市民の生命を守る最後の砦として、地域完結型医療を目指し、その役割を果たしていく必要があるものと認識しています。このため、経営強化、高度急性期医療の更なる充実、救急体制の強化等について会派要望をさせていただきましたが、現在、医療人材の確保や、働き方改革への対応に加え、昨今の物価高騰による費用増大への対応など、更なる経営努力が必要になると考えています。そこで3つ目として、これらを踏まえ、今後、医療センターが地域医療において果たすべき役割について、病院事業管理者に伺います。
3点目は、暮らしに係る取組についてです。
ライフスタイルの変化、地域への関心やつながりの希薄化などにより、本市でも自治会加入率が年々減少している状況であり、住民自治の基礎単位である自治会の活動停滞は、地域の活力低下にもつながり、市では、自治会の地域づくり活動を支援する新たな取組を進めると聞いています。そこで1つ目として、新年度から新たに取組む「自治会活性化応援モデル事業」について伺います。
我が国では、高齢化や人口減少による担い手の不足、地域・家庭・職場といった人々のつながりや支え合いの基盤が弱まってきており、こうした社会構造や人々の暮らしの変化も相まって、福祉ニーズも複雑化・複合化していると言われています。このような中、国においては、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会、いわゆる地域共生社会の実現を目指すとしています。そこで2つ目として、こうした状況を踏まえ、本市では、地域共生社会の実現に向け、どのように取組んでいくのか伺います。次に、「動物と共に生きる社会」を実現するために、動物の適正な保護管理と愛護啓発の拠点となる施設が必要だと考えます。そこで3つ目として「(仮称)動物愛護管理センター」の整備について今後どのように取組んでいくのか伺います。
近年、地震や浸水による大規模な災害が全国各地で頻発し、市民生活や地域経済活動に欠かすことができない水道水が断水となる事象が発生しています。本市では、「いわき水みらいビジョン2031」に基づき、計画的に対策を実施しているところですが、安全で安心な水道水を、日々、途切れることなく提供するためには、施設の強靭化を着実に進める必要があります。そこで4つ目として、水道施設の強靭化について、主な事業の取組状況を伺います。
本市は、他市と比較して給水区域面積が広いため、施設数が多く、管路延長も長いという特徴があり、水道施設の整備には、多額の資金が必要です。その一方で、人口の減少に伴い、給水収益が減少傾向で、収支均衡を図るためには、水道料金をはじめとした収入の確保や施設の維持管理費の縮減など、事業経営の効率化が求められます。そこで5つ目として、水道局の持続可能な事業経営について、今後どのように取組んでいくのか伺います。市民の暮らしを支える重要なインフラとして、水道施設のほかに下水道施設もあります。本年、1月28日に埼玉県八潮市で、下水道管の破損に起因すると考えられる大規模な道路陥没が起き、トラック1台が巻き込まれるとともに、約120万人に下水道の使用自粛が呼びかけられるなど、市民生活に大きな影響がありました。本市の下水道管も、今後、老朽化、腐食等が進めば道路陥没等により市民生活に大きな影響を与える可能性があり、計画的な維持管理の実施が重要だと考えます。そこで6つ目として、下水道管路施設の安全性の確保について、どのように取り組んでいるのか伺います。
大きな質問の5番目は、まちの魅力を高めることについてです。
1点目は、まちに係る取組についてです。本市のまちづくりは、人口減少下においても都市機能やまちの活力を持続可能なものとするため、「第2次都市計画マスタープラン」及び「立地適正化計画」に基づき施策を進めています。また、「いわき駅周辺地区」においては、本年1月には「いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業」の落成式が開催されるなど、今後、まちなか居住の促進やさらなる魅力の向上が期待されます。
さらに、本市は、都市部から中山間地域まで多様な地域性を持つ広域都市であり、各地域が抱える課題を的確に捉え、それぞれの特性に応じた、魅力あるまちづくりが求められます。そこで1つ目として、いわき駅周辺の市街地整備状況と今後の進め方について伺います。次に、本市では、令和5年2月に「里山の暮らしを支える地域づくり方針」を策定し、中山間地域の活性化に向けた取組を進めています。川前地区では「小さな拠点おおか」を開設するなど、中山間地域の活性化につながる実績も着実に積み上げていると思いますが、方針策定から2年が経過し、見えてきた課題等もあるのではないかと思います。そこで2つ目として、中山間地域の活性化に向け、これまでの取組から見えてきた課題等を踏まえた今後の進め方について伺います。
次に、市では、あらゆる世代が暮らしやすい、サスティナブルなまちづくりに向けて、デジタル技術を活用しながら、地域課題の解決を図る「スマートシティ」の取組を、官民共創のもと推進することとしています。
この事業は、いわきニュータウンをモデル地区に、民間活力を導入し、スマートサービスの実証・実装を展開するもので、この事業で得られた知見が、市内の他地域へ横展開されることを期待しています。そこで3つ目として、スマートタウンモデル地区推進事業の現状と今後の取組について伺います。次に、人口減少等に伴い、全国的に空き家の数が増え続けている状況にあることから、多様化する空き家問題の解決に向けた対策等の推進が求められています。市内でも、今後、適切に管理されていない空き家等の増加が懸念されるため、危険な状態にある特定空家等への対応を着実に進めると同時に、空き家化の予防に係る対策の充実や「空き家バンク」の利用促進による、中古住宅市場の拡大にも取組んでいくことが重要だと考えます。そこで4つ目として、本市のこれまでの空家等対策の取組と今後の方向性について伺います。
次に、2点目は、環境・GXに係る取組についてです。
市は、2023年11月にいわき市脱炭素社会実現プランを策定し、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという削減目標とロードマップを掲げて取組んでいます。地域での脱炭素社会を実現することは、地域課題を解決し、地域の魅力と質を向上させ、地域創生に貢献することにつながります。そこで1つ目として、脱炭素社会の実現に向けた今後の取組について伺います。次に、脱炭素社会の実現に向けては、資源循環の視点に立った取組みが必要だと考えます。そこで2つ目として、本市における循環型社会の実現に向けた今後の取組について伺います。
3点目は、地域交通の取組についてです。広大な市域を持つ本市では、市民の移動の多くは、自家用車が中心となっているのが現状です。市民が自家用車に依存することなく、公共交通により安全に移動できる環境を確保することは重要な政策課題であり、市内各地域における公共交通を確保・充実していくことが求められています。そこで1つ目として、本市の地域公共交通政策にかかる基本的な考え方について伺います。
次に、市内の路線バス事業者は、深刻な運転手不足や利用者の低迷等に伴う慢性的な赤字経営により、昨年4月に路線廃止も含めた大規模なダイヤ改正に踏み切りました。このダイヤ改正は、本市の公共交通の危機的な状況を鮮明にし、大きな衝撃を与えるとともに、路線バスを利用する多くの市民の日常生活に深刻な影響を及ぼしました。2つ目として、バス路線廃止後の対応状況と今後の取組みについて伺います。
次に、三和、田人地区で取組みが進められている住民ボランティア輸送や、昨年から運行が開始された川前地区の公共ライドシェアは、長年、公共交通空白地となっていた地域の交通弱者を中心とした住民の足として、欠かせないものと考えています。そこで3つ目として、今後、公共交通不便地域における移動手段の確保についてどのように進めていくのか伺います。
大きな質問の6番目は、豊かさを創ることについてです。
全国的な少子高齢化や人口減少の急速な進展など、先行きが不透明な状況となっており、本市でも、若年層が進学や就職を機に市外へ流出するなど、今後も企業の人手不足の状況が続くと考えられます。
そこで、1点目は産業についてです。まず1つ目として、市では産業人財の確保・育成について、どのように取り組んでいるのか、基本的な考え方について伺います。本市の基幹産業のひとつである製造業においても、労働力不足に加えて、円安に伴う輸入原材料価格の高騰や脱炭素社会への対応が求められるなど、極めて不透明な環境におかれています。こうした中で、国では経済安全保障の観点から、国内サプライチェーンの強靭化を推進しています。本市でも、こうした企業投資の国内回帰の流れを捉えて、魅力的な企業の誘致に取組み、市内製造業の長期的な競争力の維持、発展につなげていくべきと考えます。そこで2つ目として、今後の企業誘致の取組について伺います。
次に、地域経済の更なる振興に向けては、重要な産業インフラである小名浜港を有効に活用するとともに、さらなる機能の高度化に取組むことも必要です。また、小名浜港は地域の賑わいを創出する拠点となっているほか、災害時には、物資供給を支える拠点となることも期待されています。3つ目として、この「いわきの強み」ともいえる、小名浜港の機能充実に向けた考えについて伺います。
2点目は、農林水産業についてです。本市は、豊かな自然環境のもと、品質の高い農林水産物を産出しています。しかしながら、本市農林水産業は、全国的な問題である担い手不足に直面しており、担い手を確保していくためには、収益性が高く、魅力的で、稼げる農林水産業に向けての具体策の実施が必要であると考えます。そこで1つ目として、稼げる農林水産業の実現に向けた基本的な考えについて伺います。
次に農業についてです。担い手の高齢化や後継者不足など、本市が抱える課題に対応し、農業を魅力的な稼げる産業にしていくためには、経営のさらなる合理化を進めていくことが有効な手段の一つと考えます。そこで2つ目として、本市で農業を推進していくためにどのような取組を行っていくのか伺います。
次に林業についてです。本市は、面積の約7割を森林が占め、県内でも有数の森林資源を有しています。この資源を有効活用し、本市林業を成長産業に転換するためには、担い手の確保や木材の安定供給体制の確保など様々な課題に対応していく必要があります。特に、市産木材の利活用をより積極的に進めていかなくてはならないと考えます。そこで3つ目として、稼げる林業の実現に向けた市産木材の需要拡大の取組について伺います。
次は水産業についてです。本市では、平成27年10月から市内で水揚げされる魚介類や水産加工品、さらには、それらに携わる水産関係者を「常磐もの」として地域ブランド化し、安全性の発信や認知度向上、販路拡大に向けたプロモーション活動を展開しています。そこで4つ目として、これまでの取組を踏まえ、「常磐もの」のブランド力強化と販路拡大に向けてどのように取組んでいくのか伺います。
3点目は、観光・文化・スポーツについてです。
本市の観光産業は震災からの立ち直りを図っていたものの、新型コロナの影響で再び大きな打撃を受けることとなりました。改めて観光産業の立て直しに向け、戦略を再構築するとともに、宿泊を伴う誘客やイベント・文化・スポーツの開催による集客効果を発揮できるような、さらなる地域経済支援が必要だと思っています。そこで1つ目として、観光産業の再生に向けた施策について伺います。
円安などの影響により、国内における外国人観光客数は過去最高を記録しており、この状況は引き続き、継続するものと思われますが、一方で地方への分散化は課題とされ、国においてはインバウンドによる経済効果を全国に行き渡らせるため、各種の対策を取っています。そこで2つ目として、インバウンド誘客の取組について伺います。石破首相は先ごろの施政方針演説で、都道府県域を超えた広域連携の新たな枠組みである「広域リージョン連携」を強力に推進すると述べ、自治体が他の自治体とのつながりを最大限生かせる最適な体制を築くとしています。そこで3つ目として、近隣自治体等と連携した観光誘客への取組について伺います。
現在、J2に所属するいわきFCは、昨シーズンを9位で終えるなど飛躍の一年となりました。さらに、ホーム戦での入場者数も年々増加を続け、市内でも大きな盛り上がりを見せています。今後は新たなスタジアム建設など、市民の関心はより高まるものと思われます。そこで4つ目として、いわきFCと連携した交流人口拡大の取組について伺います。
大きな質問の7番目は、構造改革の取組についてです。
市では、令和4年度から3年間を集中改革期間として構造改革に取組んでおり、「いわき版骨太の方針」に基づき、様々な切り口から改革を進めていると承知しています。本市においても、社会環境が大きく変化していく中、行政も変わっていかなければなりません。より市民が便利になるようサービスを変えていく、より効率的に業務を行えるよう仕事のやり方を変えていく。そうした改革は待ったなしです。集中改革期間も今年度で一旦の区切りとなりますが、1点目として、これまでの取組の評価・受け止めについて伺います。
2点目として、集中改革期間後の進め方について伺います。
次に、公共施設の最適化についてです。公共施設については、近年、全国的に老朽化などが進み、地方自治体にとって、持続可能なまちづくりを進めるうえで、大きな課題を抱えるテーマとなっています。そのような中、市では令和4年3月に、公共施設等総合管理計画を改定し、施設の維持管理や保全に関するルール、コストに焦点を当てた目標が、新たに設定されました。そして、昨年5月には、総合管理計画の考え方に基づき、個々の施設ごとの今後の方向性を示すものとして「個別施設計画」が公表されたところであり、市ではここ数年、この問題に対し精力的に取組んできたと感じています。そこで3点目として、公共施設の最適化に向けた取組についての現状認識について伺います。
次に、市の入札制度についてです。昨年、水道局では、工事の設計単価に誤りがあったにもかかわらず、落札者が最低制限価格と同額で落札した事案が発生したことを受け、「設計単価の誤りによる工事契約解除に係る調査確認委員会」を設置し、調査確認結果及び必要な改善措置の提案を盛り込んだ報告書の提出を受けています。また、市でも、工事の入札について情報漏洩を疑われる事案が発生するなど、事業者や市民から疑義や不信感を抱かれる状況が生じていることは、由々しき事態と認識しており、制度面での改善など、市として組織全体で取組んでいく必要があると考えます。そこで4点目として、適正な入札制度の確立について、どのように取組むのか伺います。
大きな質問の8番目は、市長就任からこれまでの市政の総括についてです。
内田市長は、就任されてから4年目を迎え、1期目の総決算の年となります。「いわきを再起動させる」との強い決意を固め、「人の力を伸ばせば無限大の力が発揮できる」という信条のもと、就任以降、「人づくり日本一」の実現を目指し、積極的に新たな取組に挑戦するともに、様々な改革にも果敢に取り組まれてきました。私は、復興途上のいわき市に新たな視点で様々な事業を展開してきた内田市長の手腕そしてその実績を、高く評価させていただいておりますが、市長本人はどのようにこの4年間を総括しているのでしょうか。そこで、まず1点目として、これまで取り組まれてきた事業の実績について伺います。
答弁(市長) 事業実績についてのお質しにお答えします。
医療については、令和2年から2年間で21人の医師 を確保したほか、まちの拠点・であるいわき駅に直結する医療施設として、いわき駅北口開発に伴い移転する 「松村総合病院」の整備を支援しています。産業では、本社機能6件や工場等誘致17件というように、 企業誘致に取り組み、新たな雇用を創出しました。
防災では、一昨年の台風13号の際に災害廃棄物の処理方法など、課題は残ったものの、迅速な対応ができました。教育では、学力向上チームと学校の連携による学力向上策の推進などに取り組み、本市の学力と全国平均との差を縮めるなど、学力の改善に努めています。また、特別教室へのエアコンの設置やすべての 小中学校のトイレ洋式化に取り組み、教育環境の充実を進めています。
子育てでは、出産・子育て応援金10万円や出産育児一時金50万円の支給、第3子以降の給食費の無償化、更には来年度からは中学生の完全無償化などに取り組み、誰もが安心して子育てができる環境を整えているところです。
まちづくりでは、常磐地区や四倉地区における市街地再生整備を推進したほか、中山間地域等での各地域の実情に応じた交通確保のための実証•導入や、中山間地域を支援する新たな財源を確保するための基金の創設などに取り組み、まちの魅力を高めるとともに、持続可能なまちづくりを推進しています。
更には、日本初の「CIFALジャパン国際研修センター」に加えて、「多文化共生センター」を設置するなど、若者や女性が活躍する国際的なまちづくりを見据えた取組みも進めているところです。
2点目として、これまで取り組んできた事業への自己評価について伺います。
答弁(市長) これまで取り組んできた事業への 自己評価についてのお質しにお答えします。
私が市長に就任してから、本市の長年の懸案に向き合い、少しずつ進化しています。
医療では、令和2年からの2年間で21人の医師確保。産業では、本社機能6件なと、の企業誘致と 雇用の創出。防災では、一昨年の水害時の迅速な初動対応。また、教育では、学力の全国平均との差の縮小。子育てでは、出産・子育て応援金10万円の創設。さらには、まちづくりでは、常磐地区や四倉地区の市街地再生整備計画の公表、そして、 国際的な都市にすべく、日本初の「CIFALジャパン国際研修センター」創設なども進みました。こうして、少しずつ、一定の成果は出てきているものと考えています。しかし、どの分野もまだ、 改革や前進の途上であると自己評価をしています。
まもなく1期目の任期が満了を迎えることとなりますが、さらなる市政発展のために、引き続き、市政のかじ取りをしていただきたいと強く望んでいます。一方で、この厳しい局面を打開するためには、相当の覚悟を持った大きなチャレンジも求められてくると思います。例えば、先日、石破首相は、「防災庁」など、政府機関の地方移転も含めた「地方創生2.0」を強力に推進することを表明されました。地元の新聞でも、福島から声を上げるべし、との論調が展開されています。そこで、3点目として、このような視点も含め、今後の展望について、内田市長の決意のほどを伺います。
答弁(市長) 今後の展望についてのお質しにお答えします。
只今、答弁申し上げましたとおり、これまで進めてきた個々の政策は、まだ改革や前進の途上です。したがいまして、更なる市政発展のため、引き続き、2期目に向けて、9月の市長選挙に挑戦したいと考えています。
過去のいわき市政では、市長は、1期や2期という短い任期で終わってしまうことが多かったと思っております。しかし、それでは、いわき市の発展は難しいと考えております。他の中核市と比べて、本市の課題が多い理由は、 そういったところにも背景があると思っております。 したがいまして、1期で市長をやめるという 選択肢は全く考えていません。
また、議員ご指摘の「防災庁」の地方移転に関しては、いわき市として、手を挙げて誘致活動に向けて、進めていきたいと考えております。
これまで、東日本大震災以降、本市の度重なる災害で日本全国からお受けしたご支援を、いわき市という一地方都市から、全国に恩返しをしていきたいと考えています。
そして今後、私の2期目に向けては、只今、申し上げた防災庁のいわき市への誘致に尽力しますとともに、今議会には、中学生の給食費無償化の予算案を出させていただいていますが、その次の段階として、小学校も含めた給食費の完全無償化を進めていきたいと考えております。
そして更には、今後10年間で医師100人を確保する計画などを進めたいと思っています。

(第二演壇)
まずは、教育環境の充実の中で、学校給食費中学生無償化事業が当初予算に盛り込まれたことは、食材費高騰分の公費負担などの支援にも増して、さらに子育て世帯の力強いサポートになるものと高く評価をし、大いに期待をするところです。次に、災害に対しては、「自助」「共助」「公助」を結集して対応することが必要であり、市長が目指している「逃げ遅れゼロ」「災害死ゼロ」という重要施策に対して、東北大学と連携し、「災害のじぶんごと化」を進めることや、「公助」の力をさらに高める様々な取組に対し、引き続き、強化を図っていくという心強い答弁もありました。しかしながら、「公助」には限界があることも事実です。
自治会や自主防災組織、防災士そして消防団員など様々なリーダーを中心に、自分の地域は自分たちで守る「地産地防」の考え方で、「共助」の力を深化させ、「地区防災計画」の趣旨、そして計画に定めた内容を市民にしっかりと理解をしていただきながら、災害時にコミュニティレベルで自発的に行動できるようになっていくことこそが広域な本市では重要です。「ウェル・ビーイングなまちづくり」の実現に向けて、しっかりとした舵取りと、多様なニーズに対応した事業の展開そして推進をお願いいたします。また、内田市政1期目の総括そして2期目への強い思いを伺うことができました。市長といえば、「教育」というイメージから、教育一本やりのプロフェッショナルと思った市民もおられました。しかし、この4年間の実績を見れば、何事にも精通したオールマイティな人物であると広く理解されたものと思います。内田市長には、引き続き、市政のかじ取りを大いに期待いたします。
最後に、議場におられる部長の皆さんは、多くの方が、来年度も市職員として勤務されることと思いますが、部長という役職は、今年度末で一区切りとなります。これまで各分野のトップとして、市政進展のため責任を果たされて来られましたことに感謝と御礼を申し上げます。
それでは、これまでの丁寧な答弁を了といたしまして、私の代表質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。