令和6年7月定例会初日に登壇しました。
今回の登壇は、
①福島国際研究教育機構(F-REI)が進める研究活動について
②本市の下水道事業会計等の決算について
③登下校に路線バスを利用する小中学校の児童生徒に対する対応について
の3点を質問いたしました。
内容は次の通りです。
おはようございます。
14番 志帥会の西山一美です。
私の家の茶の間には、私が生まれるずいぶん前から、
「いつまでもあるとおもうなおやとかね ないとおもうなうんとさいなん」
と書かれた掛け軸が飾ってあります。ひらがなで簡単な言葉でしたが、小さい頃は、あまり気に留めることがありませんでした。
それでも年を重ねていくうち、この言葉は、人生の不確かさと現実を教えてくれ、親やお金は、いつかはなくなるということを忘れずに「感謝と大切さ」を持ち続けること、運や災難は予測できず、いつ起こるかわからないことを意識しながら生きていくことが大事ということであると知りました。
思いがけない身内の死や借金、また、今、この場に立てる喜びや想定外だった東日本大震災そして復興などなど。まさに謙虚さと現実的な視点。そして人生は短く、災難に遭ったり予測不可能な出来事が起こってもそれを乗り越える強さと前向きな姿勢を持って生きることをあらためて認識させられ、名言だと思うところです。
私も、そのようなことを心に刻み、これからも頑張っていきたいと思います。それでは、通告順に従って質問をいたします。
1. 福島国際研究教育機構(F-REI)が進める研究活動について
大きな質問の1番目は、「福島国際研究教育機構(F-REI)が進める研究活動について」です。令和5年4月1日、創造的復興の中核拠点として福島や東北の復興に貢献する目的で福島国際研究教育機構(F-REI)が開所しました。
その後、F-REIで掲げるミッションの中でも特に1丁目1番地として掲げている研究開発については、研究開発分野すべてで研究課題の公募をスタートし、外部の研究者・研究機関との協力を得ながら、F-REIとしての研究開発を前進していく環境が整ってきているとのことであり、順調に業務が遂行されていると報道等を通して聞いているところです。
また、本市は、同年4月15日には、本市とF-REIとの包括的な連携のもと、双方の資源を有効的に活用した協働活動の推進により、浜通り地域の復興及び発展、ならびに福島や東北の創造的復興、さらには日本創生の牽引に寄与することを目的として、F-REIとの連携協力に関する基本合意書を締結し、F-REIいわき出張所が設立されました。様々なミッションを本市との連携のもとで実現し、社会の期待に応えていくため、多くの関係機関、関係者と協力して取組みが進められているとのことです。
そこで、(1)1点目は、「F-REIとの連携に係る取組み状況について」です。
令和5年2月定例会において、私は、「福島国際研究教育機構(F-REI)の取組み」について、本市はF-REIとの連携を通して、市内高等教育機関等や企業に対して、どのようにミッションを進めていくのか質問をいたしました。
その中で、構想に基づきながら、本市の産業面ではエネルギー分野での新たな取組みが進められていることや人材育成面では、風力発電産業、東京大学アイソトープ総合センターと連携した先駆的な取組み。さらには、市内の高等学校6校において、地域企業と連携し、イノベ構想を担う人材の育成に取り組んでいることなど、様々な取組みが展開されている本市の状況について、認識を深くしました。
開設以来、約1年半が経過した現在、あらためてこれまでの動きや現在の状況を把握することが重要だと考えます。
そこで、まず1つとして、ア.F-REIの主な取組み状況について伺います。
【答弁】総合政策部長
F-REIにおきましては、「福島だからやるべき」 「福島だからできる」5つの研究分野において、世界最先端の研究を推進しています。その主な取組みとしては、本年7月1日現在、4名の研究ユニットリーダーを採用し、「遠隔操作研究ユニット」など4つのグループにおいて、研究開発を行っています。また、1つとして「ロボット」、2つとして「農林水産業」、3つとして「エネルギー」、4つとして「放射線科学、創薬医療、放射線の産業利用」、5つとして「原子力災害に関するデータや知見の集積・発信」の5分野で、計55件の研究を大学や企業が参加しているコンソーシアムへ委託し、研究に取り組んでいるところです。
ただ今の答弁によれば、F-REIでは、研究開発機能として、ロボット、 農林水産業、エネルギー、放射線科学・創薬医療・放射線の産業利用、原子力災害に関するデータや知見の集積・発信の5つの分野で研究がすでに実施されているとのことでした。
その内容から市内の高等教育機関等や企業が連携して進められる分野もあると思いますが、
2つとして、イ.これまでの本市の取組み状況はどのようなものか伺います。
【答弁】総合政策部長
本市におきましては、昨年6月、F-REIの進捗状況に対応しながら、創造的復興に向けた連携施策を効果的に展開するため、 F-REIとの連携に係る「いわき市のロードマップ」を策定・公表しました。ロードマップでは、2026年頃までを目途に、市内産学官が連携し、F-REIに対し5つ程度、研究や技術などの提案をすることを目指しています。また、ロードマップに基づき、市内企業100社をリストアップした企業ガイドブックを作成し、F-REIや大学等高等教育機関等とのマッチングなどに積極的に取り組んでいます。これらの取組みの成果といたしまして、 本年7月1日現在で、F-REIの委託研究の公募において、市内企業が関わるものが2件、市内高等教育機関が関わるものが3件の計5件の研究が採択されております。
人材育成の取組みでは、トップセミナーを開催し、地域の未来を担う大学生や高専生、高校生などの若者を対象に、F-REIの役員が中心になってレクチャーを行い、これからの未来の可能性について伝えるなど、活動を行っていると聞いています。
(2)そこで2点目として、「市内高等教育機関等における取組みについて」です。
本市においては、医療創生大学、東日本国際大学、福島高専、いわきコンピュータ・カレッジなどの高等教育機関等やいわき商工会議所、いわき地区商工会連絡協議会、いわき産学官ネットワーク協会の産業支援機関そして行政という構成による「F-REIとの連携に係る市推進協議会」を中心に要望活動を行うなど、本市の実状に即したF-REIとの連携に向けた取組みを進めているとのことであります。
具体的には、人材育成において、高等教育機関等におけるカリキュラムの充実強化など、さらに産業面においては、産業支援機関におけるF-REIの研究を社会実装につなげる環境整備の取組みなどを進めるとのことですが、
まず1つとして、ア.市内高等教育機関等との新たな連携の動きはどのようなものか伺います。
【答弁】総合政策部長
これまで、F-REIと市内高等教育機関等との連携につきましては、昨年4月に福島エ業高等専門学校と、連携協力に関する基本合意書が締結され、F-REIの山崎理事長によるトップセミナーや、「ロボットの知能化研究」係る講話、「キャリア教育に関する出前事業」等が開催されました。また、本年6月には、新たに、学校法人昌平黌との間で連携協力に関する基本合意書が締結され、「FーREIの山崎理事長による記念講演会」や「学生による米国ハンフォード研修の報告会」が開催されております。これらの取組みは、本市で学ぶ若者にとって、トップランナーの研究者に触れる貴重な機会、かつ大きな励みとなるものであり、本市の課題である若者の定着にも大きく寄与するものと期待しています。
福島高専や学校法人昌平黌が連携協定を結んでいるとのことで、これからの先進的な研究などあらたな動きに期待したいと思います。
それでは2つとして、イ.市内高等教育機関等が関わる研究活動の概要について伺います。
【答弁】総合政策部長
市内高等教育機関等が関わる研究活動には、現在、福島工業高等専門学校が3件に参画しています。1件目は、ロボット分野の研究で、ダイヤモンド半導体を用いたマイクロプロセッサなどの技術開発を行うものです。2件目は、原子力災害発生前後のまちの実態と復旧・復興の取組状況を分析し、まちづくりの研究を行うものです。3件目は、福島浜通り地域内外の学生や住民とFーREIの研究者が学びあい、将来の地域の担い手となる若者による未来課題の解決を行うものです。
3つとして、ウ.市内高等教育機関等との連携に係る今後の取組みはどのようなものになるのか伺います。
【答弁】総合政策部長
本市におきましては、F-REIとの将来的な連携も見据え、市内高等教育機関や産業支援機関など関係者との間で地域連携プラットフオームの構築について協議を進めています。このプラットフオームは、市内産学官、とりわけ高等教育機関等との連携を強化することにより、 次世代を担う人財の育成に取り組むものです。具体的には、通常のカリキュラムでの連携に加え、グローバル人財や起業家の育成、企業人を対象とした地域リーダーの育成プログラムなど、地域で活躍する人財の育成やチャレンジを後押しするような取組みを盛り込むことなどを検討しています。また、F-REIと連携協定を締結している福島工業高等専門学校や学校法人昌平黌が実施する取組みが、このプラットフオームで共有されることにより、将来的に地域で学ぶ若者がF-REIに接続できるような流れにつながることも期待されます。引き続き、FーREIの進捗状況等を踏まえるとともに、関係者と協議を進めながら、市内高等教育機関等との連携による人材育成の促進に向け、積極的に取り組んでいきます。
市内高等教育機関等に関しては、活発な動きがあり、今後もしっかりと進めていくことがわかりましたが、今後の連携を想定した人材育成カリキュラム等の構築について、研究に対する財政支援や就職相談など、きめ細かな対応も進めていただきたいと思います。
貴重な人材が、実力をつけて地元のいわきで将来にわたって生活ができるようなサポート体制の構築も必要となってくるものと思いますので、F-REIの基本構想に沿った活動における役割を担っていただくためにも、その環境整備に、しっかりと力を注いでいただくことを要望します。
次に、(3) 3点目は、「市内企業における取組みについて」です。
本市は、「高等教育機関との連携」、「産業界との連携」、「国際的おもてなし」の3本柱を軸に、F-REIとの連携を図ることとしています。そこで、「産業界との連携」に関連して、市内企業の動きについて伺っていきます。
まず1つとして、ア.F-REIの研究活動への市内企業の関わりはどのようなものか伺います。
【答弁】産業振興部長
F-REIが2023年度に公募し、現在、実施している委託研究事業の中で、その実施体制に市内企業が参画している事例は2件です。1つは、常磐共同火カ(株)が、エネルギー分野の事業に参画しています。「浜通り地域のバイオマス資源を活用したネガティブエミッション技術の実証研究」です。2つは、(株)東日本計算セン夕―、遠野興産(株)、(株)エム・シー・エフの3社が、農林水産業分野の事業に参画しています。「全自動無人林業システムの開発に向けた、下刈り作業機械の遠隔運転システムの研究開発・実証」です。
前回質問において、私は、本市企業において、F-REIが担う研究分野等を定めた新産業創出等研究開発基本計画にある、農業、水産業や廃炉、ロボット、そして木質バイオマスをはじめとしたエネルギー関連など数多い分野で連携協力できる地元企業があることや研究参加への動きもあることについてお話させていただきました。その後、参画する市内企業が出るなど、連携した取組みが確実に推進されていることがわかりました。
それでは、その内容について具体的に伺います。
2つとして、イ.常磐共同火力株式会社が関わっている研究活動の概要について伺います。
【答弁】産業振興部長
お質しの研究活動の研究実施者は、福島大学と常磐共同火カ(株)によるコンソーシアムで、 予定期間は令和11年度までです。目的の一つは、浜通り地域のバイオマス資源を燃料とした地産地消のエネルギー利用システムを構築することです。もう一つの目的は、ネガティブエミッションのコア技術の研究開発です。ネガティブエミッションとは、温室効果ガスを回収・吸収し、貯留・固定化する技術の総称です。具体的な研究内容等の概要を紹介します。木質バイオマス等を炭素化、蒸し焼き状態にし、発生する水素などの可燃ガスを燃料として、熱や電気を供給するシステムの構築を研究します。また、その過程で発生するバイオ炭、炭を土壌改良のために農地に利用しながら、炭素を地中に貯留する効果を確認・実証します。
3つとして、ウ. 株式会社東日本計算センター等が関わっている研究活動の概要について伺います。
【答弁】産業振興部長
お質しの研究活動の研究実施者は、住友林業(株)を代表機関に、市内3社に加え、東京電機大学などによるコンソーシアムで、予定期間は令和11年度までです。目的は、林業における作業者の減少、造林作業の機械化の遅れなどを踏まえ、自動化と遠隔操作技術を開発することです。具体的な研究内容等の概要を紹介します。伐採後に苗木を植える準備、いわゆる地拵えや、草を刈る作業、いわゆる下刈りを機械で行う条件や自動操作に必要な条件などを整理します。たとえば、伐採で残された根や枝を破砕する条件、植付する本数の密度や苗の間隔、列の幅、機械が走行するルートなどを検証します。
私は、これら市内企業の先進的な研究内容は、工業先進都市を標榜する本市産業界の将来の一筋の光となり、本市をベースとして世界にアピールできる成果が大いに期待できるものと考えます。
そこで4つとして、エ.市内企業が関わる研究活動の期待される効果とはどのようなものか伺います。
【答弁】産業振興部長
常磐共同火力(株)等が参画する事業は、分散型の地産地消のエネルギーシステムの構築や浜通り地域の木材資源の利用促進につながることが期待できます。また、脱炭素の推進にも貢献すると考えられます。(株)東日本計算セン夕―等が参画する事業は、作業負担の大幅な軽減などにより、林業の経営環境の向上や担い手の確保につながることが期待されます。そして、本市の基幹産業である「ものづくり」が、それらの実現を支えることで、F-REIの研究成果が、地域経済に波及し活性化につながることが期待されます。
いずれの研究活動も、社会的な要請に応えるべく、再生可能なエネルギーの確保と、森林資源の利活用を図る先導的なモデル事例として、大きく期待できるものと受け止めています。
特に、常磐共同火力株式会社は、皆さんご承知のとおり、石炭による火力発電事業を行う事業者ですが、脱炭素に向けた大きな社会変革の中で、これまでの自社の事業の枠組みを飛び出し、地域産業の将来のために、眠ったままの森林資源を有効に活用することにより、地球温暖化の最大の原因とされるCO2をバイオ炭として固型化し、土の中に戻して貯めていくという自律的なエネルギーシステムの構築に挑戦するものであります。
社会変革に対応した、こうした市内事業者の新たな挑戦は、本市の産業活性化、競争力維持には不可欠であり、私自身、大変心強く感じているところであります。
F-REIは、今後、中期計画等に基づいて研究開発等が拡大し、これに伴い、多くの市内企業や高等教育機関等も関わっていくこととなり、本市を含めた浜通り地域に大きな影響をもたらすことが想定されます。
それでは、5つとして、オ.市内企業とF-REIとの連携について、これまでの経過を踏まえ、市はどのように産業活性化につなげていく考えなのか所見を伺います。
【答弁】市長
F-REIの研究事業に市内企業が参画できるよう、私、自らが先頭に立って、FーREIと市内企業との橋渡しを行い、相互理解を深めるよう尽力してきました。具体的な取組を2点、紹介いたします。まずは、市内企業を紹介するガイドブックを、F-REIの開所に合わせて作成し、連携企画官の配置や協定締結との相乗効果で連携強化に弾みをつけました。また、市内企業の技術力や意欲を、F-REIの研究者にしっかりと伝えるためには、アカデミックな観点からアプローチする必要性も痛感しました。そのため、福島大学で関連する研究を行う教授を企業に紹介し、教授と企業が共同で、F-REIに訴えかけるような工夫も行いました。こうした取組の結果、市内企業などが F-REIの研究に関わる件数「5件」といった目標を前倒しで達成することができました。今後は、市内企業等が関わる研究活動が円滑に進むよう支援しながら、その研究成果が、市内産業の競争力強化につながるよう取り組みます。さらに、F-REIとの連携強化を、市内外の若者や女性が、「いわきで働いてみたい」と思えるような、魅力的な働く場の創出にもつなげていきたいと考えております。
私は、F-REIと本市の連携をしっかりと前に進めることで、若者の雇用やUIJ人材の増加、浜通り地域企業への雇用促進などをはじめとした、多方面での好循環が大いに期待できることをこれまでの質問の中で取り上げてきました。
しかしながら、本市の関係機関がF-REIからの提案などに対して、受け身の姿勢では、将来的に尻つぼみとなる恐れもあります。人材育成や企業の先進的な取組みに対し、様々な形で先行投資し、支援するような考えも必要なのではと思っています。
成長産業を創るべき人材の育成や、市内の小中学生そして高校生や大学生など、若者が将来、地元で確実に就職し生活できるような体制をどのようにして構築していくかについても、大変重要な問題だと捉えています。
将来、しっかりといわき市を多方面から支えてくれる人材醸成への支援や、機構とのさらなる連携に向けた様々な取組みが、着実に前に進むような舵取りを強く要望して、次に移ります。
2.本市の下水道事業等について
次に、大きな質問の2番目は、本市の下水道事業等についてです。
下水道事業については、令和元年度から令和10年度までを計画期間とする「いわき市下水道事業経営戦略」の中間見直しが、令和5年度に行われました。
その中で、「いわき市下水道事業等経営審議会」の答申では、下水道処理施設の老朽化に伴う更新や維持管理費用等が増大する一方、人口減少などにより、下水道使用料収入が減少しており、厳しい事業運営となっているとされ、下水道使用料の改定が必要であると判断されました。
このことを踏まえ、令和5年12月定例会において、下水道使用料を平均23.23%引き上げる条例改正を可決し、同年4月の請求分から新たな料金体系となりました。
この答申を踏まえた条例改正については、我が会派の川崎議員が、一般質問を行い、経費の削減を進める努力を惜しまず続けていくことを強く要望して、この料金改定はやむを得ないものとして、賛成したところです。
本定例会において、下水道事業などの決算が審査されるにあたり、ただ今お話しした使用料改定に関しては、今年度からのスタートであり、令和6年度決算からの反映になるものの、下水道事業の経営戦略の前期期間の最終年度である令和5年度の決算状況などは、どのようなものか伺っていきたいと思います。
さらに、本市では、下水道事業のような生活排水処理事業として、いわき市が実施主体として管理運営している、地域汚水処理事業と農業集落排水事業という2つの事業も同様に実施しています。
このうち、地域汚水処理事業は、民間の開発事業者が大規模住宅団地を開発した際に導入した生活排水処理施設を本市が帰属を受けて維持管理を行っているもので、現在、地域汚水処理施設は、勿来白米・石森・南台・草木台・洋向台の5か所で、約6千人の方が利用されています。
さらに、農業集落排水事業は、農村地域の生活環境の改善や農業用用排水の水質保全を目的にした公共下水道のような汚水の集合処理施設で、下小川・四倉地区の戸田、三和地区の永井と三阪、渡辺、遠野の6か所で、約3千人の方の生活排水を処理していると認識しています。
下水道事業と同様に、これらの事業についても、市民の暮らしを支え続けている重要な生活インフラであり、この事業の責務を果たすため、安定的で持続可能な経営を実現させなければならないことから、これらの事業に関しましても、その決算状況と、今後の取組みなどについて、伺っていきたいと思います。
まず(1)1点目は、「令和5年度下水道事業会計等の決算について」です。
初めに、下水道事業について伺います。繰り返しになりますが、使用料改定が反映されるのは、令和6年度の決算からということで、今回の令和5年度の決算は、使用料改定前の状況とはなります。しかし、経営戦略の中間見直し後の投資・財政計画にも関連しますので、伺っていきます。
1つとして、ア.令和5年度下水道事業会計の決算内容はどのようなものだったか伺います。
【答弁】生活環境部長
下水道事業会計につきましては、収益的収支と資本的収支で構成されています。まず、施設の維持管理に係る収益的収支は、約4億3,000万円の純利益を計上しました。また、施設の整備に係る資本的収支は、約39億7,300万円の収支不足となりました。この不足額は内部で留保している資金で補填しました。その結果、令和5年度末の資金保有残高は、約6億9,300万円となりました。
令和5年度下水道事業会計の決算では、純利益、期末資金を確保しているとのことですが、それでは、本年3月に中間見直しを行った「いわき市下水道事業経営戦略」に対し、何か影響がないのか
2つとして、イ.中間見直しを実施した「いわき市下水道事業経営戦略」への影響について伺います。
【答弁】生活環境部長
経営戦略への影響については、資金不足等の問題が生じる状況ではないことから、現時点では影響はないと考えています。具体的な数字で申し上げます。中間見直し後の経営戦略では、令和5年度末の資金保有残高を約3億3,000万円と見込んでいました。決算では、動力費や運転管理業務委託料の減等により、資金保有残高は約6億9,300万円を計上しました。その結果、経営戦略の見込みより、約3億6,300万円上回っている状況となりました。
見直しを行った「経営戦略」に与える影響はないとのことですが、
それでは3つとして、ウ.この決算内容をどのように総括しているのか伺います。
【答弁】生活環境部長
令和5年度の決算内容の総括について、近年の経営環境を踏まえ、収入・支出の観点から申し上げます。 収入においては、人ロ減少等に伴い使用料収入が減少しており、今後も、この傾向が続くと見込んでおります。一方、支出においては、老朽化した施設の改築更新費用や、それに伴う市債償還が毎年発生するなど、支出の増加傾向が続くと見込んでおります。このため、経営戦略に位置付けた、管路施設の包括的民間委託や下水汚泥等の利活用事業など、各種施策を確実に展開し、安定的で持続可能な事業経営に取り組んでいきます。
令和5年度決算の総括としては、収入面、支出面、それぞれに課題があるとのことですが、中間見直しを行った「経営戦略」に基づく取組みにより、安定的な事業経営に臨むとのことですので、まずはよろしくお願いいたします。
次に、4つとして、 エ.市で管理している生活排水処理のうち、地域汚水処理事業について、令和5年度決算内容の総括について伺います。
【答弁】生活環境部長
施設の維持管理に係る収益的収支は、約1,390万円の純利益を計上しました。また、施設の整備に係る資本的収支は、約950万円の収支不足となりました。この収支不足は、内部で留保している資金で補填しました。その結果、令和5年度末の資金保有残高は、約4億9,920万円となりました。地域汚水処理事業は、施設の老朽化等の課題はあるものの、使用料の収入で、施設の維持管理に要する費用が賄えており、財政の健全性は確保されていると考えています。
この事業は、財政の健全性が保たれているとのことで安心しましたが他の事業と同様、さらなる経営努力を続けていくようお願いします。
次に、5つとして、オ.農業集落排水事業について、令和5年度決算内容の総括について伺います。
【答弁】生活環境部長
施設の維持管理に係る収益的収支は、約130万円の純損失を計上しました。また、施設の整備に係る資本的収支は、約8,460万円の収支不足となりました。この不足額は、内部で留保している資金で補填しました。その結果、令和5年度末の資金保有残高は、約3,960万円となりました。農業集落排水事業は、施設使用料の収入で維持管理に要する費用が賄えず、厳しい状況となっています。
こちらの事業は、厳しい財政状況とのことですが、先ほどお話したとおり、この事業も下水道事業と同様に、重要な生活インフラですので、安定的で持続可能な経営を実現させなければなりません。そのためには、課題解決のための取組みが必要となってきます。
そこで、(2)2点目として、「農業集落排水事業も含めた、下水道事業等の今後の経営改善に向けた取組みについて」質問していきたいと思います。
まず、下水道事業の取組みについて伺います。
昨年の12月定例会において、川崎議員が下水道事業について取り上げましたが、その中で、経費削減の取組みについて聞いており、その答弁では、
一つとして、管路管理に係る複数の業務をパッケージ化し、複数年契約で実施し、経費削減に努める「管路施設包括的民間委託」について。
二つとして、老朽化した東部浄化センターを廃止し、中部浄化センターとの統廃合を含む、処理区の再編を行い、さらに、その中部浄化センターではPFI手法を活用しながら、下水道資源の有効活用を図る「下水汚泥等利活用事業」について、それぞれ示されました。
これらの事業は、昨年の12月当時、それぞれ取組みの途中であったと思いますので、その後の進捗状況等についてあらためて伺っていきたいと思います。
まず、1つとして、ア.「管路施設包括的民間委託」の実施状況等について伺います。
【答弁】生活環境部長
この業務委託は、今年3月に市内16社を含む18社からなる共同企業体と契約を締結し、 4月から順調に業務を開始しています。具体例を2つ申し上げます。1つ目は、緊急時の対応です。これまで管渠の詰まりや道路陥没などがあった場合、まず、職員が現場を確認し、業者を決定した上での対応となるため時間を要していました。今年度からは、受託者が確認した現場状況をインターネット上で市と共同企業体が共有し、対応可能な事業者が迅速に修繕を行います。6月末までにこうした事例が9件あり、1件あたりその時間短縮効果は概ね半日となっています。 2つ目は、計画的な維持管理についてです。トラブルを未然に防ぐ予防保全型維持管理への転換に向け、改築に係る設計やストックマネジメント計画の見直しにも着手したところです。
こちらの事業につきましては、受注者も決定し、本年4月からスタートされたとのことですので、今後も、その事業者と連携をしっかり保ち、管路の適切な維持管理をお願いします。
次に、2つとして、イ.「下水汚泥等利活用事業」の進捗状況について伺います。
【答弁】生活環境部長
本事業は、中部浄化センターにおいて、下水汚泥等の有効利用を図るため、固形燃料化施設やバイオガス発電設備などを整備するものです。事業の進捗状況としましては、本年7月現在、各施設の整備は概ね完了しています。本年9月から試運転や調整を行い、来年2月の供用開始を目指します。
こちらの事業は、今年度末に供用開始とのことですが、外的要因は別として、その開始時期が遅れないように、進捗管理などをよろしくお願いいたします。
また繰り返しになりますが、どちらの事業、取組みも今後の下水道事業における健全な事業経営のためにも重要ですので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
続いて、地域汚水処理事業と農業集落排水事業についてです。
こちらは特に、農業集落排水事業に課題があったと思います。この課題解決にあたって、どのように取り組んでいくのか、
3つとして、ウ.これらの事業については、経営改善の取組みをどのように進めていくのか伺います。
【答弁】生活環境部長
地域汚水処理及び農業集落排水事業においても、将来を見通した事業展開を図るため、下水道と同様、経営戦略を策定しています。両戦略の計画期間は、令和3年度からの10年間であり、社会経済情勢等の変化に対応するため、令和7年度に中間見直しを行うこととしています。この中で、収入・支出を見通し、投資財政計画の見直しを行うなど、具体的な内容を検討します。
「地域汚水処理事業」、「農業集落排水事業」ともに「経営戦略」を策定しており、令和7年度に中間見直しの中で経営改善の取組みを検討されるとのことですが、
それでは4つとして、エ.経営戦略の中間見直しの実施方法について伺います。
【答弁】生活環境部長
経営戦略の中間見直しは、条例の規定に基づき「市下水道事業等経営審議会」で審議します。この構成員は、学識経験を有する者、施設の使用者、公募委員の15名で組織されます。今回は、地域汚水処理及び農業集落排水事業の経営戦略の見直しを行うことから、委員構成において これらの施設使用者の構成割合を増やし、実態をより反映できる体制とする考えです。
今年度、「下水道事業等経営審議会」を設置し、審議会において、各事業の「経営戦略」の中間見直しについて審議されるとのことですが、
5つとして、オ.その中間見直しを行う審議会のスケジュールについて伺います。
【答弁】生活環境部長
スケジュールにっいては、本年8月に公募委員2名を募集し、10月を目途に審議会を設置します。併せて、地域汚水処理及び農業集落排水事業の経営について諮問します。その後、5回程度審議を行っていただき、令和7年11月を目途に答申を受ける予定です。この答申を踏まえ、令和7年度末までに、市として両経営戦略の中間見直しを行います。
農業集落排水事業と地域汚水処理事業において、令和6年10月頃に、「下水道事業等経営審議会」を設置し、それぞれの経営について諮問を行い、令和7年度に答申、それを踏まえた中間見直しを策定すること。また、下水道事業においては、計画に掲げた経費削減の取組みの一つである、「管路施設包括的民間委託」「下水汚泥等利活用事業」がどちらも着実に実施され、進行していることがわかりました。
これらの下水道、地域汚水処理、農業集落排水の生活排水処理事業は、生活の重要なインフラですので、安定的で持続可能な経営、事業の実施が必要です。それぞれの事業に課題があるところですが、各事業の「経営戦略」において、その改善策、改善への取組みが掲げられていることも、あらためてわかりました。
さらに、その「経営戦略」については、市民の皆さんと一緒に作っていく、今年度からは「中間見直し」を行っていくとのことであり、行政の一方的な考えではないということもわかりました。しかしながら、その計画策定や中間見直しにおける取組み状況は、見えにくい、分かりにくい部分もあると思いますので、市民の皆さんに理解していただくためにも、可能な限り早期の情報発信を求めます。
今後も、社会情勢の変化などを的確に捉え、経費削減等への切れ目ない検討そして取組みに努めていただくことを強く要望して、次の質問へ移ります。
3.登下校に路線バスを利用する小中学校の児童生徒に対する対応について
大きな質問の3番目は、「登下校に路線バスを利用する小中学校の児童生徒に対する対応について」です。
令和5年11月、新常磐交通株式会社は、深刻な運転手不足と事業経営の悪化を原因として本年4月からの路線バスの廃止や減便の実施について発表しました。この発表は、これまで、収益性の高い高速バスを減便しながらも、生活路線バスを維持してきた新常磐交通にとって苦渋の決断であったとの報道を目にしました。本市も、市長を先頭に、最大限の路線バスの維持に向けて新常磐交通と協議を重ね、その結果、廃止による影響が特に大きい5つの路線について、既存路線の起点や終点そして経由地を変更するなどの工夫等による運行の継続について合意したものと理解をしています。市内の小中学校の通学において、小中学校の再編によって遠距離通学となった児童生徒は、スクールバスが使用されていますが、その他の小中学校の中には、既存の路線バスを利用して通学する学校もあり、これらの学校が利用するバス路線では、児童生徒の重要な移動手段となっています。そのような中で、今回のダイヤ改正により大幅な運行本数の減少や一部路線の廃止が行われたことで、保護者の皆さんからは、登下校に路線バスを利用する小中学校の児童生徒に、極めて大きな影響を与えたのでないかとのご意見をいただいたところです。 そこで、これまでの経緯や今後の対応について伺ってまいります。
まず、(1)1点目は、「路線バスを利用する市内の小中学生の登下校の状況について」です。
本市教育委員会が発刊した令和6年度いわき市の「教育」に関する主な取組みという冊子を見ますと、事業一覧の「学校教育環境の充実」という項目の中に、公共交通機関を利用しての登校を必要とする遠距離通学者に対する「遠距離児童生徒通学費等補助金」という制度を設けていると記載されていました。
そこで、あらためてその内容とはどのようなものか、
1つとして、ア.公共交通機関等を利用しての登下校を必要とする遠距離通学者に対する補助制度について伺います。
【答弁】教育部長
本市では、バスなどの公共交通機関を利用して遠距離通学する児童生徒に対し、いわき市小学校及び中学校遠距離通学児童等通学費補助金交付要綱に基づき、通学定期代等のー部を補助しています。補助率は、住居から学校までの距離が、4㎞以上の児童については2分の1、住居から学校までの距離が6㎞以上の生徒については3分の2となっています。また、住居から学校までの距離がこれらに該当しない場合の補助率は、乗車する停留所から下車する停留所までの距離が2km以上4km未満の児童、及び駅または停留所から学校までの距離が4km以上 6km未満の生徒については、5分の1となっています。さらに、公共交通機関を利用せず、徒歩、自転車、自家用車で通学する場合は、住居から学校までの距離が4km以上の児童や、6km以上の生徒を対象とし、距離に応じて最大で年額15,000円を補助しています。これらを合わせ、本年度は約270万円の予算を計上しているところです。
本年度の予算額は約270万円とのことでしたが、
2つとして、イ.この制度により補助を受けている小中学校の児童生徒数について伺います。
【答弁】教育部長
令和5年度の実績では、児童196人、生徒40人が補助を受けています。
この数は、あくまでもこの制度に当てはまっている児童生徒が対象であり、加えて、制度の対象にはならないもののバス利用をしている児童生徒もいると思います。そのような皆さんが、バスの減便や廃止の影響により、登下校時間等に変更が生じれば、授業時間等の編成にも影響を及ぼしたのではないかと考えますが、
3つとして、ウ.今回のダイヤ改正で学校運営に影響が生じた学校はあるのか伺います。
【答弁】教育部長
現時点で、学校現場から今回のダイヤ改正に伴う学校運営への影響に関する相談や報告が無いことから、学校運営に及ぼす大きな影響は無いものと認識しています。
しかしながら、バス路線の廃止があった学校においては、登下校の時間変更など児童生徒の通学行動にも少なからず変化があったものと推察します。
そこで4つとして、エ.これらのダイヤ改正により、児童生徒への影響はあったのか伺います。
【答弁】教育部長
学校への聞き取りにより確認したところ、一部の児童生徒の保護者から、「登下校のバスの 時間に変更が生じたため、家を出る時間が早まったり、学校での待機時間が増えたりした」、「これまで利用していた停留所よりも、自宅から離れた停留所の利用を余儀なくされた」などの声が寄せられているとのことです。今回のダイヤ改正に伴い、小中学校合わせて5校で、在校する児童生徒が利用していたバス路線が廃止となっており、保護者から学校に寄せられた声を踏まえると、児童生徒への影響は少なからずあったものと認識しています。
保護者の方から聞いたお話の中には、祖父母が自家用車で送迎をはじめた児童もいることや下校時に、バスの時間まで学校空き教室で待っているのなら、授業が終わってすぐに徒歩で自宅へ向かえば、明るいうちに戻れるといった話をされている方もいるようなことも聞き及んでいます。極端な例だとは思いますが、交通量の多い道路脇の歩道を帰ることの安全面での不安やこれから冬に向かって日が早く落ちる状況等を想定すれば、新たな問題を抱えることにもなりかねません。
そのようなことも踏まえ、5つとして、オ.このダイヤ改正を受けて、学校ではどのような対応がとられているのか伺います。
【答弁】教育部長
下校時のバスの時間や、放課後、保護者が迎えに来るまでの時間など、学校での待機時間が増えた児童生徒に対し、放課後の見守りを行っています。また、日没が早い時期には、業務の合間を縫ってバス停までの付き添いを行うなど、児童生徒の安心・安全の確保に努めているところです。
該当する学校の先生方におきましては、路線バス利用の児童生徒の現状を把握していただき、保護者の皆さんとの連携をさらに密にしながら、できるだけ児童生徒に負担がかからないようなサポートをお願いしたいと思います。
次に、本年4月のダイヤ改正に関わって、市と新常磐交通の動き等ですが、
(2)2点目は、「ダイヤ改正に係る学校への対応経過について」伺います。
今回のダイヤ改正は、深刻な運転手不足によるものであり、限られた人員の中で、当初は廃止を予定していた路線の復活も含め、ぎりぎりの調整が行われてきたものと理解をしているところですが、調整を進めるにあたっては、ほかの交通手段を持たない小中学生の通学に対しては、特に、慎重にそして丁寧な検討や対応が求められたものと思います。
そこで1つとして、ア.新常磐交通では、今回のダイヤ改正について、小中学校に対し、どのように説明してきたのか伺います。
【答弁】都市建設部長
新常磐交通では、昨年11月に一部路線の廃止や大幅な減便等の案を示して以降、影響が大きい小中学校、高等学校を個別に訪問し、説明を行ってきたところです。説明にあたっては、路線やダイヤをこれまでと同様に維持することは、深刻な運転手不足等により困難であることに対する理解を求めながら、ご意見を伺っています。その後、意見や要望等を踏まえた市との協議を経て、可能な限り通学への影響を少なくするため、一部路線の維持や経路のエ夫などを含む、案の修正が行われました。さらに、具体的なダイヤの見直し内容が決定した本年2月以降は、改めて各学校にその内容をお知らせするとともに、状況に応じて説明を行うなどの対応をしてきたところです。
次に2つとして、新常磐交通がイ.学校に対する説明にあたり、行政として、どのようにアドバイスしてきたのか伺います。
【答弁】都市建設部長
市としましては、今回の路線バスの廃止や減便は、通学をはじめとした市民の日常生活に、大きな影響を及ぼすことが懸念されたため、利用実態を十分に把握し、慎重にダイヤ改正を進めるよう求めてまいりました。そのうえで、学校関係者などの利用者に対しては、ダイヤ改正に向けた作業や手続きの進捗に応じて、期を逸することなく、丁寧な説明と情報発信を重ねるよう求めてきたところです。
路線バスは、自家用車による移動に制約のある市民の皆さんにとっては、重要な移動手段です。特に、小中学校の通学に必要な路線については、その維持は特に重要だと思います。
そこで3つとして、市民の皆さんの移動に必要なウ.路線バスの維持に向けて市がこれまでに実施してきた新常磐交通株式会社への支援内容は、どのようなものか伺います。
【答弁】都市建設部長
市では、通学に限らず、買物、通院など、市民の日常生活に特に密接に関わるバス路線について、「生活バス路線維持対策事業」により、運行経費のー部を補助してきました。 今年度においては、新常磐交通が当初発表した 廃止対象路線のうち、通学等への影響が特に大きい5路線についても、その存続に向け補助対象路線に追加することとし、それらを合わせて計1億8,695万円の補助金を予算措置したところです。さらに、運転手の確保に向けては、「担い手確保支援事業」を創設し、第二種運転免許の取得費用等に対する支援も開始しました。このように、市としましては、市民の皆様の重要な移動手段である路線バスの維持・確保に向け、その取組みを進めているところです。
ただ今の答弁では、本年度、路線バスを維持することなど関連事業費を含め、1億8695万円の補助経費を計上したとのことでした。
この補助経費の中には、路線バスを利用する児童生徒に対する対応経費も入っているのではと、多くの市民の皆さんは思っています。だからこそ、保護者の皆さんの指摘に対して真摯に対応しなければならない重要な課題と認識しなければなりません。
そこで、(3)3点目として、「今後の対応について」伺います。
本年4月のダイヤ改正以降、バス利用者や関係機関等から様々な意見が行政に寄せられているものと思いますが、
まず1つとして、ア.新常磐交通では、今後のダイヤ改正において児童生徒などへの影響を考慮し、より利用しやすいダイヤとする考えを持っているのか伺います。
【答弁】都市建設部長
本年4月のダイヤ改正については、市民の皆様より、新常磐交通や市に対し、数多くのご意見や要望が寄せられています。新常磐交通では、これらの意見等を真摯に受け止め、公共交通へのニーズと、運転手の確保などバスの運行に向けた諸状況を総合的に勘案しながら、ダイヤの改善に向けた検討を進めていくこととしています。特に、小中学校の児童・生徒が利用しやすいダイヤへの改善については、学校関係者からのご意見をしっかりと受け止め、検討を進めたいとの意向が示されています。
市民の皆様の足としての路線バスの維持と利用者の実態やニーズに合わせた柔軟なバスの運行は、新常磐交通だけの問題とせずに行政も一体となって取り込んでいくことが求められていると思います。
それでは市長に伺いますが、市長は、防災・医療・そして教育政策に対して、特に力を入れて取り組んで来ておられますが、公共交通対策についても喫緊の課題として、精力的に取組んでいると承知しています。これまで質問してきたとおり、今回の路線バスのダイヤ改正は、子どもたちの教育環境に密接に関連する重要な問題と捉えていますが、
2つとして、イ. 児童生徒の通学に必要な公共交通の確保に向けて、「人づくり日本一」を掲げる市長はどのように取組む考えか伺います。
【答弁】市長
私は、市長就任以来、「人づくり日本一」を掲げてきました。この目標達成に向け、児童・生徒が安心して通学できる環境を創っていくことは、大変重要な事柄であるものと捉えています。このため、今回のダイヤ改正に際しては、特に通学に大きな影響を及ぼす路線について、交通事業者との協議を重ねながら、一部路線の維持を図っております。しかしながら、現状では、必ずしも児童・生徒の通学に十分な運行状況にはないものと認識しています。このような状況を改善するため、 路線バスのよりー層効果的な運用等により、児童・生徒が利用しやすいダイヤへと改善がなされるよう、積極的に関与し、子供たちが安全に、そして、安心して学ぶことができる環境の創出に取り組んでいきます。更に、今般のダイヤ改正により、市内高等学校の通学や部活動にも大きな影響が生じているとの声も寄せられています。これらへの対応については、高等学校を所管する県教育委員会と情報交換等を行い、緊密な連携の下で交通事業者との協議を進めていく考えです。
路線バスの厳しい状況が簡単に改善することは難しいとは思いますが、公共交通の減少が本市の児童生徒の「学びの機会」を奪うようなこととならないよう、今後のダイヤ改正にあたっては事前に学校と対話を重ねながら、児童生徒そして学校への負担ができるだけ小さくなるような指導そしてサポートを強く要望して、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。